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東京ゼロエミ住宅
【助成額最大240万】
令和6年10月から新基準へ

東京都は、省エネ性能の高い住宅の普及を目的とした、「東京ゼロエミ住宅」を実施しています。

この事業は、高い断熱性能と省エネ性能基準を満たすゼロエミ住宅の新築に対し、建築主へ費用の一部を助成するものです。令和元年から始まった東京ゼロエミ住宅助成金事業は、令和6年(2024年)10月1日より新基準が適用される予定となっており、それに伴い助成額も改定されます。

令和6年度の交付申請は同年4月1日から受け付けが始まっていますが、予算に上限があるため、申請が上限に達した時点で受付が終了します。そのため、余裕を持った準備が重要です。お客様に適切な提案を行うためにも、東京ゼロエミ住宅の概要、適用基準、申請手続きの流れを確認しておきましょう。

東京ゼロエミ住宅の概要

東京ゼロエミ住宅の認証の対象は、都内において新築等を行う住宅(一戸建ての住宅、集合住宅等)が対象になります。集合住宅等にあっては、当該建築物内の全ての単位住戸が対象となります。

「東京ゼロエミ住宅」では各水準ごとに、外皮性能基準、省エネルギー基準がそれぞれ設けられています。

― 断熱性能と省エネ性能で評価される

「東京都環境局『東京ゼロエミ住宅』とは?」では、ゼロエミ住宅について以下のように記載があります。

株式会社上岡祐介建築設計事務所 » 東京ゼロエミ住宅【助成額最大240万】令和6年10月から新基準へ 「東京ゼロエミ※住宅」とは、高い断熱性能の断熱材や窓を用いたり、省エネ性能の高い照明やエアコンなどを取り入れた、人にも地球環境にもやさしい都独自の住宅です。東京ゼロエミ住宅での暮らしは、省エネに加えて、高断熱化によって快適な室温が維持され、部屋間の温度差も小さくなり、ヒートショックの抑制にもつながります。 ※「ゼロエミ」とは「ゼロエミッション(ZERO EMISSION)」の略

出典:東京都環境局「ゼロエミ住宅とは?」

つまり、「断熱性能」と「省エネ性能」が東京ゼロエミ住宅の主要な評価基準になります。それぞれの性能を高めることで、住む人の快適性向上と環境負荷の低減を同時に実現できるのです。

株式会社上岡祐介建築設計事務所 » 東京ゼロエミ住宅【助成額最大240万】令和6年10月から新基準へ

東京ゼロエミ住宅の規定(基準)には、仕様規定と性能規定の2種類があります。認定されるには、2種類のうちどちらかの規定(基準)に適合することが必要です。

「仕様規定」では、指定された種類の断熱材、開口部(サッシ、玄関ドア)、設備等が定められた要件に適合することが求められます。

一方、「性能規定」の場合、指定された種類の設備等が要件を満たしたうえで、さらに定められた性能規定値に適合していることが必要です。

なお、木造住宅に限り、「仕様規定」と「性能規定」のどちらかを選択できます。

― 東京ゼロエミ住宅に適合するための3つの水準

東京ゼロエミ住宅3つの水準は、基準が変わります。

下記は、現行の基準と令和6年(2024年)10月1日より適用される新基準を示した図です。

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現行水準1~3の三段階となっていましたが、新基準では水準C~Aに変更されます。また、再エネ設備(太陽光発電設備等)の原則設置が要件化されます。

― ZEH(ゼッチ)との違い

東京ゼロエミ住宅とよく比較されるのが、ZEH(ゼッチ)です。 お客様の中には、ZEHは知っているが東京ゼロエミ住宅は知らないという方も多くいます。

ZEHは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略であり、家庭で使用するエネルギーの量と、太陽光発電などで自ら生み出す再生可能エネルギーの量をおおむね同等にすることで、年間のエネルギー収支をゼロにする住宅です。

これにより、外部から供給されるエネルギーを大幅に削減し、環境負荷を軽減することを目指しています。

エネルギーの消費を抑える部分は東京ゼロエミ住宅もZEHも同様ですが、ZEHが一次消費エネルギー量の削減率(再生可能エネルギーを除く)を20%以上としているのに対し、東京ゼロエミ住宅の水準は30%程度を達成できるものとしております。

つまり、ZEHの基準値よりも高く設定されていることになります。

東京ゼロエミ住宅の助成額

東京ゼロエミ住宅の助成額は、令和6年(2024年)10月1日から変更されました。従来よりも助成額が増加するため、お客様にとって大きなメリットとなります。

新築住宅の建設コストが上昇傾向にある中で、東京ゼロエミ住宅の助成金制度は、コスト負担を軽減できる重要な手段です。助成金をうまく活用することで、顧客への提案価値を高め、施工件数の増加に繋げていくことが期待されます。

― 2024年10月から助成額が変わる

【戸建て住宅】

現行基準(2024年9月30日まで)

水準3

210万円

水準2

50万円

水準1

30万円

現行基準(2024年10月1日から)

水準A

240万円

水準B

160万円

水準C

40万円

【集合住宅等】

現行基準(2024年9月30日まで)

水準3

170万円

水準2

40万円

水準1

20万円

現行基準(2024年10月1日から)

水準A

200万円

水準B

130万円

水準C

30万円

【戸建て住宅】

現行基準(2024年9月30日まで)

水準3

210万円

水準2

50万円

水準1

30万円

現行基準(2024年10月1日から)

水準A

240万円

水準B

160万円

水準C

40万円

【集合住宅等】

現行基準(2024年9月30日まで)

水準3

170万円

水準2

40万円

水準1

20万円

現行基準(2024年10月1日から)

水準A

200万円

水準B

130万円

水準C

30万円

― 2集合住宅の認証単位が変わる

令和6年(2024年)10月1日より、集合住宅の認証単位の基準が見直されます。

現行基準では、集合住宅全体を住棟単位で認証し、全住戸で達成された水準を1棟の水準として扱っています。つまり基準に満たない住戸があった場合、すべての住戸がその水準に引き下げられていましたが、新基準では助成金の対象が住戸になります。

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※全ての集合住宅において、水準C以上を達成すること

※各住戸単位で水準の認証を行うこと

― 2ファミリータイプとワンルームタイプの助成額の比較(水準Aで比較)

対象は住戸になるため、同じ建築面積のマンションであれば、戸数が多いほど助成金額が増えます。
助成金だけを考慮すれば、全てワンルームタイプにした方が多くなりますが、ファミリー附置義務がある自治体の場合、全てをワンルームタイプで計画することはできないこともあるので注意が必要です。

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※1.共同住宅の場合、床面積の合計が2,000m2未満であることが適用条件にあります(ゼロエミ条件)

※2.ファミリー附置義務に関しては、台東区、墨田区、江戸川区、等

― 他の制度との併用の可否

東京ゼロエミ住宅助成金事業は、国や都の他の助成金との併用ができる事業がありますので、該当する際は併用して上手く利用するようお客様に促しましょう。

東京ゼロエミ住宅はどのような制度との併用が可能なのか、以下にご紹介します。
【併用可能な事業】

  • 地域型住宅グリーン事業

  • こどもみらい住宅支援事業

  • こどもエコすまい支援事業

  • 東京こどもすくすく住宅供給促進事業
    (東京ゼロエミ住宅の助成金を受ける住戸以外の住戸や共用部分などが対象)

  • 子育て支援型共同住宅促進事業

  • 子育てエコホーム支援事業

  • 東京ゼロエミポイント(冷蔵庫の買い替えのみ併用可能)

また、以下は東京ゼロエミ住宅とは併用できないため注意しましょう。
【併用できない事業】

  • 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化支援事業

  • 次世代ZEH+実証事業

  • 集合住宅のCO2化促進事業<ZEH-M>

  • LCCM住宅整備促進事業

  • 子育て支援型共同住宅促進事業

  • 家庭のゼロエミッション行動推進事業<東京ゼロエミポイント>
    (エアコン、給湯器及びLED照明器具の買い替えに係るもの)

  • 高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー促進事業補助金(給湯省エネ事業)

  • その他、東京都環境公社(クールネット東京)が実施している「太陽光発電設備」「蓄電池」「エコキュート」「エネファーム」「V2H」などに対する助成事業


  • 事業ごとの併用の有無は、あらかじめお客様に文章で伝えるとわかりやすいです。お客様が利用できる制度が把握しやすくなると、建築を前向きに検討しやすくなります。

― 東京ゼロエミ住宅の助成金は所得税の対象になるのか?

会社員など外で働いている方の給料から差し引きされる所得税ですが、東京ゼロエミ住宅の助成金は所得税の対象にはなりません。

その理由は、所得税法第42条「固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金」に該当するからです。そのため、収入金額に加算しなくて良い費用となります。

あらかじめ、お客様には東京ゼロエミ住宅は所得税の対象にはならないと、説明しましょう。

東京ゼロエミ住宅の助成額

東京ゼロエミ住宅のメリットには大きく分けて「省エネ効果」と「資産価値」の2つがあります。

― 省エネ効果

節約できるランニングコスト

高断熱な壁や窓、高効率なエアコンが採用されているなど、省エネ性能が高い住宅を選択することで、エネルギー(電気・ガス)の消費量を抑えることができ、光熱費を削減できます。

入居率アップの可能性

東京ゼロエミ住宅は、省エネ性能や快適性が高いことから優良物件としてのアピールにもつながります。

「断熱性の確保」により、部屋間の温度差や、部屋内の上方と足元の温度差が小さくなるため、ヒートショックの予防など、暮らしている人の快適性向上や健康の維持が期待できます。

冬は壁や窓の表面温度が低くなりにくいため、結露が抑制されます。その結果、健康を害するダニやカビが繁殖しにくくなったり、建材の劣化を防ぐことができ、住宅が長持ちする効果もあります。

― 資産価値

資産価値の向上

2024年4月より建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度がはじまり、借りる住まいの断熱性能やエネルギー消費性能を比較、確認できるようになります。

賃貸住宅の性能が明確になることにより、家賃にも影響してくるでしょう。

省エネ性能や快適性に優れた住宅は、資産価値が高く評価されます。また、将来の売却時や賃貸時の価値が高くなると期待されています。
つまり、「省エネ性能」が不動産の価値のひとつに!

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東京ゼロエミ住宅のデメリット

ゼロエミ住宅には以下のデメリットもあります。 建築後のトラブルを避けるためにも建築主に正確な情報を伝える必要があります。

― 設備機器を変更するのも注意が必要

設備機器を変更する際、該当している機器を採用しないと助成の対象になりません。 そのため、東京ゼロエミ住宅の助成を受けるためには、選定する機器が基準に適合していることを必ず確認して下さい。

助成金の申請方法

東京ゼロエミ住宅の助成金を申請する場合、「建設工事の着工前」「工事期間中」「工事完了後」のそれぞれで手続きがあります。抜け漏れがあると助成金を受け取れないおそれがあるため、申請方法について確認しておきましょう。

― 1.建設工事の着工前

東京ゼロエミ住宅の助成金を申請する場合、建築主は建設工事の着工前に以下の手続きが必要です。


  • 設計図書等の作成

  • 省エネ計算の実施

  • 登録認証審査機関に「東京ゼロエミ住宅設計確認審査申請書」を提出


  • 東京ゼロエミ住宅助成金事業の助成を受けるには、認証事項に関わる部分の工事に着手する前に、東京ゼロエミ住宅設計確認の申請をしないといけません。例えば基礎が該当する申請の場合は基礎工事の前、断熱が該当する申請の場合は断熱工事の前に申請をする必要があります。

    東京ゼロエミ住宅の申請に該当する部分の工事が終わってから東京ゼロエミ住宅設計確認の申請をしていないことに気づいても、東京ゼロエミ住宅設計確認の申請はできません。

― 2.工事期間中

建築主は工事期間中に以下の手続きを行う必要があります。助成金の交付申請は期限が決まっているため注意が必要です。


  • 登録認証審査機関から「東京ゼロエミ住宅設計確認書」の交付を受ける

  • クール・ネット東京に助成金の交付申請を行う
    ※「東京ゼロエミ住宅設計確認書」の交付日から90日以内


  • 助成金の交付が決定するとクール・ネット東京から「交付決定通知書」が届きます。また、重大な設計変更があった場合は、設計変更確認審査を受けないといけません。この申請は、設計変更に係る工事に着手する前に行っておきます。

― 3.工事完了後

建設工事が終わった後は以下の手続きを行います。


  • 登録認証審査機関に「東京ゼロエミ住宅工事完了検査申請書」を提出

  • 登録認証検査機関が、完成した住宅の審査・現地調査を実施

  • 登録認定検査機関から「東京ゼロエミ住宅認定証」の交付を受ける

  • クール・ネット東京に「実績報告兼交付請求書」を提出する
    ※東京ゼロエミ住宅認定証の交付日から180日以内または、最終提出期限日(令和6年度に交付申請する場合、令和8年9月30日までに提出)のいずれか早いまでに行う

  • 助成金の確定後、クール・ネット東京から「助成金確定通知書」の交付を受ける

  • 助成金が建築主の指定口座に入金される



  • 手続きが完了してから、助成金が振り込まれるまでの期間は、約3~4か月です。お客様の中にはいつ振り込まれるか不安に思われる人がいる場合もあるので、予め伝えておきましょう。

― 4.助成金受け取り後

助成金を受け取った後は、取得財産等について助成事業の完了後において注意して管理し、助成金の交付の目的に従ってその効率的な運用をしなければいけません。

助成対象住宅の検査済証の交付日から 10 年以内に、助成対象住宅の所有者を変更した場合は、取得財産等の所有者となった者は、「所有者変更承認申請書(別記第 19 号様式)」を公社に提出しなければいけません。

― 電子申請の方法と注意点

東京ゼロエミ住宅の助成金の申請は、電子申請でも行えます。

電子申請では、審査の進捗状況をリアルタイムで把握できるので、審査の進み具合などが把握できます。パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでも電子申請が可能です。電子申請で申し込みをする場合は「東京ゼロエミ住宅導入促進事業の公式サイト」から電子申請仮受付フォームへと移動し、メールアドレスを登録し進めていきます。

電子申請の進め方については、わかりやすいマニュアルがあるため、操作に不慣れな人も安心です。場所を選ばず簡単に申請ができるので、東京ゼロエミ住宅の申請は電子申請をする方が増えています。

― 申請の際の注意点

東京ゼロエミ住宅の申請時には、注意すべきポイントがあります。間違った申請などしないよう、きちんと把握した上で申し込みをしましょう。どの様なポイントに注意すべきなのか、以下にご紹介します。

申請方法の途中で変更ができない

東京ゼロエミ住宅の申請手続きは、途中で変更できません。申請手続きは、申請書と電子申請の2種類がありますが、申請方法を途中で変更することができないため、どちらの方法で申請するかを決めておく必要があります。

申請の内容によっては追加の書類が必要な場合がある

申請に必要な書類は決まっていますが、申請者によっては追加で別の書類が必要になる場合があります。追加で書類を求められた場合は、速やかに追加の書類を提出するようお客様に伝えましょう。

追加で求められた書類を提出しない場合は、申請が取り消しになる場合があります。

申請内容に変更が発生した場合

申請中に内容の変更が発生した場合は、速やかに変更内容に応じた書類を提出する必要があります。

申請方法や必要書類について不明点がある場合は、東京都環境局に直接問い合わせることをお勧めします。間違った内容で申請をしたり、提出書類を間違えたりすると場合によっては、やり直しが必要になることもあります。

まとめ

東京ゼロエミ住宅は、都内の温室効果ガス排出量を削減する取り組みとして、助成金が交付される便利な制度です。断熱性と省エネ性能の高い建材や設備機器の導入により、水準によっては数百万~数千万円もの助成金を受け取ることができます。

東京ゼロエミ住宅の申請は難しくはありませんが、このような申請をしたことが無いお客様にとっては難しいと思うかもしれません。そんな場合は、弊社に相談して下さればわからない部分をお教えします。代理人での申請は可能ですので、気軽にご相談下さい。

予算の規模は大きいですが、申請総額が予算に達した場合は受付が終了します。そのため、利用したい場合は早めに申請しましょう。