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【第1回】これを読めば「省エネ適判」がわかる!省エネ適判の基礎知識

【第1回】これを読めば「省エネ適判」がわかる!省エネ適判の基礎知識

「省エネ適合性判定」、皆さんはどこまで理解できていますか?
実際にお客様とお話ししていると、なんとなく分かっているつもり の方が大半を占めています。
やることは大まかに知っているけど、全体感を把握していなくてスケジュール調整に困ったり、確認申請との連動や完了検査時の立会いなどで焦る・・・
といったケースが多々見られるのです。
そこで、より身近になった省エネ適合性判定について、省エネ計算のプロが教えていきたいと思います!
省エネ適合性判定コラム第1回目となる今回は、省エネ適判の基本をまとめてみました!

そもそも、省エネ適判とは?

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)により、建築物の省エネ性能向上のため、一定規模以上の非住宅建築物に省エネ基準への適合を義務化しました。
これにより、該当する建築物は省エネ基準に適合していなければ、建築基準法の確認済証や検査済証の交付を受けることができなくなりました。

2021年4月に省エネ適判の対象が拡大!

2021年4月より、建築物省エネ法の一部が改正されました。
今までは非住宅建築物の中でも2000㎡以上の大規模建築物のみが省エネ適判の対象でしたが、300㎡~2000㎡未満の中規模建築物も省エネ適判の対象となったのです。

つまり、300㎡以上の非住宅建築物は省エネ基準に適合していないと、引渡しはおろか、着工もできなくなるのです。
ちなみに、ここでいう床面積は建築確認上の延床面積とは異なり、「高い開放性を有する部分の床面積を除いた部分の床面積」を指しますので、申請をする際には少し注意が必要です。
〉高い開放性を有する部分とは?

省エネ適判申請前の注意点

適用除外となる建築物がある!?

適合義務(届出義務や説明義務も含む)には、適用除外となるケースもあります。

(適用除外)
第十八条 この節の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。

  1. 居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないものとして政令で定める用途に供する建築物
  2. 法令又は条例の定める現状変更の規制及び保存のための措置その他の措置がとられていることにより建築物エネルギー消費性能基準に適合させることが困難なものとして政令で定める建築物
  3. 仮設の建築物であって政令で定めるもの


出典:建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律

適用除外の考え方

上記にある法律(条文)を分かりやすく述べると、

1. 居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより、空気調和設備を設ける必要がない用途に供する建築物
 →「自動車車庫」 「常温倉庫」 「畜舎」など

<補足>
  • 「居室を有しないこと」により空気調和設備を設ける必要がない用途
    →自動車車庫、自転車駐車場、常温倉庫、変電所、畜舎、公共用歩廊、等
  • 「高い開放性を有すること」により空気調和設備を設ける必要がない用途
    →観覧場、スケート場、水泳場、神社、寺院、その他これらに類するもの
  • ※ただし、上記に挙げた建築物全てが高い開放性を有するとは限らないため、「壁を有しないことその他の高い開放性を有するものとして国土交通大臣が定める用途(平成28年国交告第1377号)」に規定された用途のみ適用除外となる。

2. 保存のための措置等により省エネ基準に適合させることが困難な建築物
 →「文化財指定された建築物」など

3. 仮設の建築物であって政令で定めるもの
 →仮設建築物

のこと。つまり、1.や2.や3.に該当する(※建物全体が適用除外の用途である場合に限ります。)建築物の場合は、適用除外建築物として取り扱われるということになります。

出典:国土交通省 【政令】建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律

出典:国土交通省 【省令】建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行令

出典:国土交通省 【告示】壁を有しないことその他の高い開放性を有するものを定める件

適用除外には注意が必要

ここで注意しなくてはいけないのが、省エネ適判の対象外となるのは建物全体が適用除外の用途である場合に限るということです。

倉庫や工場に関しては、建物内に事務室(事務所用途)が存在すると複合用途として申請されているケースもありますので、その場合は適用除外とはなりません。
例えば1.に該当する自動車車庫と公共用歩廊からなる建築物の場合は、どちらの用途も適用除外に当てはまる建築物となるため、複合建築物ですが適用除外建築物とみなされます

また、建築物省エネ法では「その室の使われ方が様々であり現時点では標準的な使用条件を定めることが困難である建築物の部分については、当面の間、当該部分において消費されるエネルギーについては、一次エネルギー消費量の算出対象には含まれないこととする。(モデル建物法入力支援ツール解説より)」とされてますので、使用方法によって評価の対象外となるケースもあります。
例えば、冷凍・冷蔵倉庫、無人工場や植物工場などの用途は、適用除外には当てはまりませんので申請は必要となりますが、計算の対象(評価の対象)からは除外されます

計画中の建築物の用途が倉庫で、ご自身での判断に迷う場合などは、提出先の審査機関や省エネ計算代行会社などへ事前に確認・相談すると間違いないでしょう。

一目で分かる、省エネ適判の対象

適用除外でないことが分かれば、次に確認するのはその建築物の規模です。
適合義務の要否を判断するための床面積は、建築基準法上の面積算入する部分を対象とし、そこから以下の条件を満たす高い開放性を有する部分の床面積を除いた床面積とします。

  • 空調設備が設置されうる最小限の部分であること(=内部に間仕切壁等を有しない階又はその一部であること)
  • 常時外気に対し一定以上の開放性を有していること(その部分の床面積に対する常時外気に開放された開口部の面積の合計の割合が1/20 以上であること)


出典:建築物省エネ法に基づく規制措置・誘導措置等に係る手続きマニュアル

文章でみると少し分かりづらいですが、下記のように図面で考えると簡単かもしれません。

高い開放性を有する部分の図

また、住宅部分・非住宅部分を含む複合建築物の場合は、非住宅建築物の床面積の規模で適合義務の判断をします。
非住宅専用部分は「非住宅」、住宅専用部分は「住宅」として分かりやすいのですが、ここで迷うのは住宅部分と非住宅部分の共用部についてです。
共用部は原則として、居住者以外が使用する場合など(詳しくは、平成28年国交告第1376号参照ください。)は非住宅部分として扱いますが、住宅の居住者が使用する場合は住宅部分として取り扱います。

これらを考慮した上で、高い開放性を有する部分の床面積を除いた非住宅部分の面積が300㎡以上であれば、省エネの適合義務の対象となるのです。

省エネ適合義務・届出義務・説明義務の判定フロー

実際に省エネ適判の申請をしてみよう!

省エネ届出と全く違う、省エネ適判の流れ

お客様からよくあるのが、「省エネ適判の流れが分からない」といった質問です。

そもそも、省エネ適判と届出の違いの一つに、省エネ適判は確認申請・完了検査に連動するということが挙げられます。
省エネの届出は、着工の21日前までに所管行政庁へ省エネ計画の提出が義務付けられていますが、義務付けられているのは提出なので、提出さえしてしまえば審査のやり取りにいくら時間がかかろうと(着工日を経過していても)問題はありません。忙しい役所では、審査に1~2ヶ月かかることもざらにあります。

しかし、省エネ適判は適合が義務付けられていますので、建築基準法の建築確認・完了検査の対象となり、基準に適合しなければ着工はもちろん、建物を使用することができません

ちなみに、確認審査時には省エネの適合判定通知書が必要となりますので、適合していることが証明されなくては確認済証も交付されません。
確認済証が交付されなくては着工を進めることはできませんよね?
このように確認申請と密に連動するため、確認申請の下付に合わせたスケジュールで逆算し、申請時期や設計図書の準備などを行っていく必要があるのです。

省エネ適判の申請の流れ(クリックすると詳しい流れが表示されます)

事前審査

本受付

⼯事完了2ヶ月前(設備機器、断熱等省エネ計算に係わる変更が生じる場合)

⼯事完了〜完了検査

代行会社に依頼する場合、どれくらい前に頼めば良い?

先程も述べましたが、省エネ適判は確認申請と連動するうえに、適合判定通知書が交付されないと確認済証も交付されません。
よって、確認申請の仮受け時には省エネ適判の作業も並行して進める必要があります。
確認申請の図面と省エネ適判で使用する図面は整合が取れていないといけませんので、仮受け時に設計図書の変更や修正などが出てきた場合は、省エネ計算で使用する図面も変更しなくてはなりません。
そのため、仮に途中まで計算を進めていた場合、計算もやり直しが必要となってきます。

逆に、省エネ適判で基準値に満たない場合は、いくら確認申請上問題がなかったとしても基準を満たすような設計内容の変更が必要となります。
設計内容を変更する場合、お施主様とご予算のすり合わせも必要になってきます。
審査前~審査中にこのようなやり取りが発生しますので、できるだけ余裕をもったスケジュールで工程管理をした方が良いでしょう。

また、省エネ計算を代行会社へ依頼する場合には、代行会社の納期や作業のスピード感も把握しておいた方が良いと思われます。
図面が揃ってから納期が1ヶ月先・・・とか、質疑の対応がかなり遅い・・・などがあると、その分申請や設計スケジュールも遅れてしまいます。
スムーズに申請業務を進めるためには、余裕をもったスケジュールと、お客様と計算代行会社がお互いに協力して整理していく必要があります。

確認仮受け~着工までのスケジュール

スムーズに審査を進めるポイント

  • 確認申請の図面と省エネ計算書に添付する図面は整合が取れている必要があります。
    (確認申請下付後、図面の整合がとれていない場合は、省エネ変更申請の対象になりますので注意が必要です。)
  • 省エネ計算代行会社へ依頼した場合は、確認申請上の質疑(建築、構造、設備など)において修正された事項や図面の修正箇所は、どのように変更されたかがわかるように明示するとスムーズです。
    (スケジュールがタイトですので、省エネ計算修正対応、審査の効率化に繋がります。)
  • 省エネ計算代行会社へ依頼した場合は、修正内容はある程度まとめて計算担当者へ提示した方が良いでしょう。
    (※計算する側としては、まとめて修正した方が効率が良いです。)
    また、大きな修正内容がある場合は基準値をオーバーしてしまわないよう、その都度連絡し確認することをおすすめします。
  • 確認下付から逆算して、約2ヶ月前くらいには省エネ適判の計算の準備をし始めるのが望ましいです。

省エネ適判に必要な書類は?

計画書、設計内容説明書、各種設計図面、計算書等のほか、お施主様以外の方が申請を行う場合には委任状も必要となります。
添付する設計図書(意匠図・設備図等)については、所管行政庁または提出先の登録省エネ判定機関にお問い合わせ下さい。

建築物の構造等に関する図書
建築物のエネルギー消費性能に関する図書

省エネ適判は届出と異なり、建材・設備の仕様等(JIS規格等)について設計図書に明示等する事とされています。
また、断熱材は種別・仕様のほかに施工部位も図示する必要があります。
省エネ適判では、かなり細かく根拠を求められますので、断熱範囲図や各種仕様書などの予め準備をしておいた方が良いでしょう。
また、省エネ適判を計算代行会社へ依頼する場合、大事なのは確認申請書です。
建物用途や面積を確認をする際に必要となるため、可能であれば計算前などなるべく早い段階で用意をしましょう。
お客様の中には「最低限の図面しか(確認申請に必要な図面程度しか)ない」という方も多くみられます。
必ず添付する必要があるものと、代用が可能な(必要な情報がどこかに記載があれば良いとされる)ものとありますので、不安な方は予め提出先や省エネ計算代行会社へ相談することをおススメします。

もちろん、弊社でも”確認済証交付までの時間が無い” 物件や ”図面に変更が出てしまい設備図がまだアップしていない” 等で書類がそろっていない場合でも、用意できる図面から送っていただければ順次省エネ計算をスタートできますのでお気軽にご相談ください

省エネ適判おすすめリンク

建築物省エネ法に係る適合義務(適合性判定)・届出マニュアル
出典:一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構(IBEC)

建築物エネルギー消費性能基準への適合義務対象建築物に係る設計図書の記載例
建築物エネルギー消費性能基準への適合義務対象建築物に係る工事監理マニュアル
出典:一般社団法人日本サステナブル建築協会(JSBC)

省エネ基準適合義務対象建築物に係る完了検査マニュアル
出典:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

登録建築物エネルギー消費性能判定機関(令和3年5月1日現在)
出典:国土交通省 建築物省エネ法のページ

省エネ適合性判定・届出の申請窓口検索ページ
出典:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

まとめ

複雑で作業量も多い「省エネ適判」。 届出とそんなに変わらないと考えている設計者様も多くいらっしゃいますが、実際は用意する資料も多いうえに、引渡し直前までやり取りが発生します。 上岡設計なら、必要図面を送るだけで最後まで対応致します。
また、都内であれば、民間検査機関への書類提出から質疑対応のやり取り、副本受け取りまでも代行が可能です!
お忙しい設計者様へ、面倒な作業は全てお任せしませんか?

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