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省エネ適判の「軽微な変更」はどう進める?
該当する変更内容と対応手順

省エネ適判の
「軽微な変更」は
どう進める?
該当する変更内容と
対応手順

コラム|省エネ適判の「軽微な変更」はどう進める?該当する変更内容と対応手順
コラム|省エネ適判の「軽微な変更」はどう進める?該当する変更内容と対応手順
省エネ適合性判定(以下、省エネ適判)の軽微な変更は、完了検査までに生じる設計変更のうち、省エネ性能に与える影響が限定的と判断される変更を指します。

省エネ基準への適合が義務付けられている建築物は、省エネ適判に基づく計画内容に沿って建築されることが原則です。

そのため、着工後に設計内容へ変更が発生した場合には、省エネ基準へ引き続き適合しているかどうかを改めて確認し直すことが求められます。

しかし、わずかな設計変更であっても再度の省エネ適判が必要となると、実務上の負担やスケジュールへの影響が無視できません。

そこで、省エネ性能への影響が小さい設計変更については「軽微な変更」として整理し、再度の省エネ適合性判定を省略できる仕組みが設けられています。

2025年4月の建築物省エネ法改正以降、原則としてほぼすべての建築物で省エネ基準への適合が義務付けられました。

これに伴い、設計変更が生じた際、軽微な変更として適切に判断することは、設計実務において重要なポイントとなっています。

完了検査での指摘や再手続きを防ぐためにも、軽微な変更の考え方と実務上の対応を整理して確認しておきましょう。
省エネ適判における「軽微な変更」とは
省エネ適判における
「軽微な変更」とは
省エネ適判では、所管行政庁または登録建築物エネルギー消費性能判定機関が、提出された省エネ計算書および設計図書の内容に基づき、建築物が省エネ基準に適合しているかを審査・判定します。

省エネ基準に適合していないと判断された場合、確認済証の交付を受けることができず、着工することはできません。

また、省エネ適判は設計段階で完結する手続きではなく、工事完了および完了検査に至るまで、省エネ計画に基づいて一貫して建築が行われることが求められます。

そのため、実施設計や施工段階でやむを得ず仕様や設備内容に変更が生じた場合には、変更内容に応じて、所定の手続きを行う必要があります。

手続きの中でも、省エネ性能への影響が小さく、法令上、再度の省エネ適判を要しないと判断される変更内容に対して行う手続きを「軽微な変更」といいます。

軽微な変更は、着工後に生じる軽微な設計調整まで一律に再度の省エネ適合性判定を求めると、設計・申請の負担や工程への影響が過大になることを踏まえて設けられています。

省エネ性能への影響が限定的な変更については、再度の省エネ適合性判定を省略しつつ、必要な資料整理や説明を行うことで、省エネ基準への適合性を担保します。

これにより、実務の円滑な進行と制度運用の合理性を両立させることが可能となります。

― 軽微な変更の判断は3つのルートに分かれる

― 軽微な変更の判断は3つの
  ルートに分かれる

国土交通省では、軽微な変更に該当する設計変更への対応方法について、ルートA・ルートB・ルートCの3つに分類して整理する考え方が示されています。

ルートA:現状よりも省エネ性能が向上、または影響がない変更
ルートB:一定の範囲内で省エネ性能が低下する変更
ルートC:省エネ計算による確認が前提となる変更

分類は、単に「軽微な変更に該当するかどうか」を決めるためのものではなく、設計変更が出た際に、省エネ性能への影響をどのレベルで捉えるか判断するための枠組みです。

省エネ適判では、影響の大小にかかわらず、設計変更が生じた場合は、軽微な変更または変更申請のいずれかに該当するかを整理する必要があります。

そのため、設計変更が生じた場合は、省エネ計画との違いを整理し、軽微な変更としてどのルートに該当するかを判断する必要があります。

― 「着工前〜完了検査前」に判断・対応が必要

― 「着工前〜完了検査前」に
  判断・対応が必要

省エネ適判は、設計段階で省エネ基準に適合していることを判断して終わる手続きではありません。工事完了時の完了検査では、設計段階で省エネ計画どおりに施工が行われていることを確認されます。
「建築主による計画変更手続きから完了検査申請・検査済証取得までの流れを示す図」
省エネ基準への適合が確認されることで、完了検査に合格となり、検査済証が交付されます。検査済証が交付されない場合、原則として建築物の引渡しや使用開始に進むことはできません。

そのため、設計や施工の途中で仕様や設備内容に変更が生じた場合には、完了検査までにその変更内容を整理し、適切に判断・対応しておく必要があります。

特に実務では、実施設計確定後の仕様見直しや、施工者との協議による設備機器・材料の変更など、工事が進む過程で設計内容が変更になる場面が少なくありません。

設計に変更が生じた場合、その都度、省エネ性能への影響を整理し、軽微な変更に該当するかどうかを判断しておくことが重要になります。

― 変更申請との違い

― 変更申請との違い

建築物の着工後に設計変更が生じた場合には、省エネ基準への適合性を判断したうえで、対応方法が分かれます。

判断の結果、再度の省エネ適判が必要な場合は「変更申請」となり、再判定が不要と判断される場合は「軽微な変更」として対応します。
軽微な変更と変更申請の違いを示し、省エネ適合性判定の要否をまとめた表
変更内容が、変更申請に該当する場合、判定期間の確保や設計・申請業務の追加対応が必要となり、工期やコストへの影響が生じやすい点には注意が必要です。

特に施工段階で変更が発生した場合には、工程の組み替えや、着工・完了時期の調整が必要となるケースもあります。

変更申請と軽微な変更の違いを正しく理解し、変更内容に応じて適切な手続きを選択することが、実務上の手戻りや完了検査時の指摘を防ぐうえで重要となります。
軽微な変更に該当する変更内容
軽微な変更に
該当する変更内容
軽微な変更に該当するかどうかは、単一の要素だけで判断できるものではありません。

実務では、省エネ計画における評価条件がどの部分で、どの程度変わるのかを軸に、複数の観点から総合的に判断します。

ここでは、実施設計や施工者調整の中で実際に発生しやすく、判断に迷いやすい変更内容を中心に整理します。

― 一次エネルギー消費量に影響が小さい外皮形状・面積の変更

― 一次エネルギー消費量に影響が
  小さい外皮形状・面積の変更

外皮に関する設計変更のうち、以下のような内容は、軽微な変更に該当する場合があります。
  • 建物の高さ(階高合計等)の減少
  • 建物の外周長の減少
  • 外壁・屋根・外気に接する床など、外皮面積の減少
  • 方位別外壁面積(北・東・南・西)の調整
上記の変更が軽微な変更に該当する理由は、一次エネルギー消費量の算定結果に影響が生じにくく、評価上、省エネ性能が低下しないと判断される可能性があるためです。

ただし、形状や面積の変更に伴い、断熱仕様や開口部仕様の見直しが必要になる場合は、外皮の性能に影響が生じる可能性があります。

そのため、軽微な変更として整理できるかではなく、変更申請が必要かどうかを判断する必要があります。

変更申請が必要となる外皮の変更内容

変更申請が必要となる外皮の変更内容

外皮に関する設計変更のうち、断熱材や開口部の仕様変更などで、外皮性能値(平均熱貫流率・日射熱取得率など)が変わる場合は、変更申請が必要になるケースがあります。

具体的には、次のような変更が該当します。
  • 外壁・屋根・外気に接する床の断熱仕様の変更
  • 断熱材の種類や厚さの変更に伴う、平均熱貫流率の変化
  • 窓やトップライトの仕様変更による、熱貫流率や日射熱取得率の変化
  • 外皮の構成変更により、省エネ計画上の入力条件が変わる変更
上記の変更は、外皮性能の数値が直接変わる可能性が高く、一次エネルギー消費量の再算定が前提となるため、軽微な変更として整理できない場合が多くなります。

また、平均熱貫流率や日射熱取得率の増加が5%を超える場合や、複数の変更が重なって外皮性能全体が明らかに低下する場合も、変更申請の対象となることがあります。

― 性能が同等・または向上する設備機器への変更

― 性能が同等・または向上する
  設備機器への変更

設備機器の変更のうち、省エネ計画における評価条件や、性能値が変わらない範囲での変更については、軽微な変更に該当する場合があります。

具体的には、次のような変更が該当します。
  • 同一の効率区分内での設備機器の変更
  • メーカー変更や型番変更であっても、定格能力や効率が同等である変更
  • 制御方式や運転条件が変わらない機器への置き換え
上記の変更が軽微な変更に該当する理由は、一次エネルギー消費量の算定に用いる性能値や評価条件が実質的に変わらず、省エネ性能が低下しないと判断される可能性があるためです。

ただし、効率や消費電力、制御方式などの性能条件が変わる場合には注意が必要です。その場合の設備機器の変更は、変更申請が必要になる可能性があります。

設備機器の変更において変更申請が必要となる場合

設備機器の変更において変更申請が必要となる場合

設備機器の変更のうち、一次エネルギー消費量の算定に用いる性能値や評価条件が変わる場合は、変更申請が必要になるケースがあります。

具体的には、次のような変更が該当します。
  • 空調機や照明機器などを、効率の低い機種に変更
  • 定格消費電力や一次エネルギー換算効率が設計時より悪化
  • 熱源容量や台数が変わり、省エネ計画上の評価条件が変わる
上記の変更は、省エネ計画における入力条件や評価結果に直接影響を及ぼす可能性が高くなっています。

特に、効率の低下や消費電力の増加が伴う変更、あるいは熱源容量や台数の見直しによって評価条件が変わる変更については、軽微な変更として整理することは難しく、原則として変更申請による再確認が必要となります。

― 設備方式が変わらない変更

― 設備方式が変わらない変更

設備機器については、採用している方式そのものを変更しない範囲での調整であれば、軽微な変更として扱われる可能性があります。

例えば、給湯機器には主に「貯湯式」と「瞬間式」がありますが、方式を変更せず、一次エネルギー消費量の算定条件が変わらない範囲であれば、軽微な変更として整理できる可能性があります。

また、空調設備においても「個別熱源方式」や「中央熱源方式」など、方式そのものを変更せず、評価条件が変わらない範囲で同一方式内の機器容量や台数を調整する場合は、軽微な変更として扱われるケースがあります。

ただし、方式は同じであっても、機器構成の変更によって評価条件や算定結果に影響が及ぶ場合には、軽微な変更の範囲を超え、変更申請が必要となるケースがあるため、注意が必要です。

― 創エネ設備(太陽光発電)に関する変更

― 創エネ設備(太陽光発電)に
  関する変更

太陽光発電などの創エネ設備に関する変更のうち、一次エネルギー消費量の評価結果が悪化しないことが明らかなものは、軽微な変更に該当する可能性があります。

具体的には、次のような変更内容ごとに整理します。
太陽電池アレイの容量・方位・傾斜角の変更内容と、その判定基準を示す表
また、以下のような一定の基準を超える変更については、一次エネルギー消費量の再算定を前提とした変更申請が必要となります。
  • 太陽電池アレイシステムの容量減少が2%を超える場合
  • 設置方位角の変更が30度を超える場合
  • 設置傾斜角の変更が10度を超える場合
そのため、創エネ設備に関する設計変更が生じた場合には、表に示した基準に照らしながら、評価結果への影響を総合的に確認したうえで判断することが求められます。
省エネ適判の軽微な変更を進める手順と対応方法
省エネ適判の軽微な変更
を進める手順と対応方法
省エネ適判の軽微な変更は、ルートごとに求められる手続きや整理すべき資料が異なります。
軽微な変更後のルートA・B・Cにおける完了検査までの流れを示す図
ルートの判断や対応を誤ると、完了検査時の指摘や是正対応、場合によっては再計算や再提出が必要になるなど、工程の遅延や追加業務につながるリスクがあります。

設計変更に伴う手戻りを最小限に抑えるためにも、各ルートに応じた手続きを確認しておきましょう。

― ルートA:現状よりも省エネ性能が向上、または影響がない

― ルートA:現状よりも省エネ性
  能が向上、または影響がない

ルートAに該当する軽微な変更が発生した場合は、以下の手順に沿って対応を進めます。
■ ルートAの手続きの流れ
  • 変更前後の仕様が分かる図書を準備
  • 省エネ性能が変更前と同等・または向上していることを確認
  • 国土交通省様式の「軽微な変更説明書」を作成
  • 「軽微な変更説明書」と「変更内容が分かる図書」を完了検査申請時に提出
完了検査時に設計変更の内容について、適切な説明ができない場合、追加資料や再整理が必要になる可能性があります。

そのため、省エネ性能への影響がないことを説明できる資料をあらかじめ整理しておくことが、完了検査時の指摘や追加対応を防ぐうえで重要になります。

― ルートB:一定の範囲内で省エネ性能が低下する

― ルートB:一定の範囲内で
  省エネ性能が低下する

変更内容がルートBに該当する際の手続きは、ルートAと基本的に同じです。
■ ルートBの手続きの流れ
  • 変更前後の省エネ性能の差が分かる図書を準備
  • 省エネ性能の低下がルートBの範囲内であることを確認
  • 国土交通省様式の「軽微な変更説明書」を作成
  • 「軽微な変更説明書」と「変更内容が分かる図書」を完了検査申請時に提出
ルートBでは省エネ性能が変更前よりも低下していることが前提になります。

そのため、変更前後でどの項目がどの程度変わったのかを明確にし、省エネ性能の低下が制度上認められている範囲内に収まっていることを、資料上で説明できる状態にしておくことが重要になります。

特に、複数の変更が重なっている場合や、数値基準の境界付近にある変更については、ルートCに該当しないかも含めて慎重に確認する必要があります。

― ルートC:省エネ計算による確認が前提となる変更

― ルートC:省エネ計算による
  確認が前提となる変更

ルートCに該当する設計変更は、ルートA、ルートBのように性能への影響が明確でないため、省エネ計算の結果を根拠として示すことが前提となります。
■ ルートCの手続きの流れ
  • 変更後の条件で省エネ計算を再実施
  • 変更後も省エネ基準に適合していることを確認
  • 所管行政庁または登録建築物エネルギー消費性能判定機関へ「軽微変更該当証明」を申請
  • 交付された軽微変更該当証明書を受領
  • 「軽微な変更説明書」と「変更内容が分かる図書」を完了検査申請時に提出
設計変更がルートCに該当する場合、所管行政庁または登録建築物エネルギー消費性能判定機関から軽微変更該当証明書の交付を受けることが必要になります。

軽微変更該当証明書の交付により、変更後の省エネ計画が省エネ基準に適合していることが第三者の立場で確認されます。

また、ルートCは、ルートA・ルートBと比べて申請手続きや審査に一定の期間を要する点に注意が必要です。完了検査の直前に対応を始めると、証明書の交付が間に合わず、完了検査の遅れや是正対応につながるおそれがあります。

そのため、設計変更がルートCに該当する可能性があると分かった段階で、早めに省エネ計算の再実施や証明取得の段取りを進めておきましょう。
省エネ適判の軽微な変更でよくある質問
省エネ適判の軽微な変更
でよくある質問
軽微な変更に関する実務では、判断基準や説明方法について多くの疑問が生じます。

ここでは、設計担当者からよく寄せられる質問を整理します。

― ルートCでは、計算結果をどう提示すればいい?

― ルートCでは、計算結果をどう
  提示すればいい?

ルートCでは、設計変更の前後で省エネ計画のどの条件が、どのように変わったのかを整理した説明資料をあわせて用意することが重要です。省エネ計算書だけでは不十分なケースがあるため、変更点が分かる形で整理資料を用意すると安全です。

具体的には、外皮の性能値や設備仕様、一次エネルギー消費量の算定条件などについて、変更点が分かる形で整理し、計算結果が変更後の省エネ計画に基づくものであることを明確に示します。

また、計算条件や前提となる設定内容を整理した資料を残しておくことで、軽微変更該当証明の審査時や完了検査時に、追加説明や再整理を求められるリスクを抑えることができます。

― 完了検査時に軽微な変更の扱いをどう説明すればよい?

― 完了検査時に軽微な変更の扱い
  をどう説明すればよい?

完了検査時には、変更内容とそれが軽微な変更に該当すると判断した理由について、「軽微な変更説明書」をはじめとする書面で説明できる状態が求められます。

省エネ適判における軽微な変更は、口頭説明だけではなく、軽微な変更説明書等の書面で説明できる状態にしておくことが重要になります。

― 軽微な変更で判断に迷った場合、どこに相談すべき?

― 軽微な変更で判断に迷った場
  合、どこに相談すべき?

軽微な変更に該当するかどうかの判断に迷った場合は、まず、当初の省エネ適判を行った「所管行政庁」または「登録建築物エネルギー消費性能判定機関」に相談します。

省エネ適判の判断主体である機関に確認することで、制度解釈のずれや、完了検査時の認識違いを防ぐことができます。

あわせて、実務対応としては、省エネ適判業務に精通した設計事務所や専門家に早めに相談することも有効です。

制度の考え方と実務運用の両面から助言を得ることで、不要な再計算や変更申請への切り替えといった手戻りを回避しやすくなります。

特に、ルートBとルートCの境界にあたる変更については、自己判断を避け、判定機関等への事前確認を前提に進めることが、実務上のリスク低減につながります。
省エネ適判の軽微な変更対応は当社にご相談ください
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当社にご相談ください
省エネ適判の軽微な変更は、「軽微」という言葉の印象以上に、判断と整理が求められる実務です。

特にルートCに該当する場合は、変更後条件での省エネ計算の再実施が前提となるため、設計者の業務負担やスケジュールへの影響が大きくなりがちです。

軽微変更の判断や、設計変更への対応、再計算や資料整理の進め方についてお悩みがあれば、ぜひ当社にご相談ください。

上岡祐介建築設計事務所では、省エネ適合性判定業務に精通した立場から、専門性の高いサポートをいたします。

判断に迷った段階でのご相談も可能ですので、省エネ適判の軽微な変更対応でお困りの際は、ぜひ当社までお問い合わせください。
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確認申請と連動したスピーディな
省エネ適合性判定サービス

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