Play Button

設計業務の外注化におけるメリット・デメリットと
信頼できる委託先の選び方

設計業務の外注化における
メリット・デメリットと
信頼できる委託先の選び方

株式会社上岡祐介建築設計事務所 » 設計業務の外注化におけるメリット・デメリットと信頼できる委託先の選び方
近年、深刻な人材不足や業務の効率化を背景に、多くの企業が業務の外注化(BPO)を進めています。

この流れは建築業界も例外ではありません。2025年4月に施行される建築物省エネ法の改正により、原則ほぼ全ての建築物に省エネ基準の適合が義務化されることから、設計業務の負担増加が予測されます。社内の人手不足により、すでに多くの設計事務所で業務が逼迫している中、外注化は避けられないでしょう。

しかし、設計業務の外注にはメリットだけでなくデメリットも存在します。外注化に伴うリスクを軽減し、安全かつ効果的に運用するためには、信頼できる委託先を選び、適切な体制を整えることが重要です。

本記事では、設計業務を外注する際のメリット・デメリットを詳しく解説するとともに、信頼できる委託先の選び方について紹介します。
設計業務の外注化が加速している背景とは
設計業務の外注化が
加速している背景とは
設計事務所では、実施設計における作図業務の外注が増えています。この背景には、以下のような課題があります。
  • 深刻化する人手不足
  • 整合性や図面修正に関する不安
  • 2025年4月の法改正による業務量の増加
これらの状況は今後も改善が難しいため、早い段階で外注を活用し、組織の体制を整えることが求められます。

― 深刻化する人手不足

建築業界では人手不足が深刻な問題となっています。とりわけ、専門知識と豊富な経験を持つ設計者の不足が顕著です。

技術者不足を補うために新卒採用を強化している設計事務所も多いですが、一人前の設計者を育てるには相当な時間を要します。さらに、人材確保が追いつかないうちにベテランの設計者が退職してしまうと、長年培ってきた技術やノウハウまでもが失われてしまいます。

そのため、意匠図や電気・設備図の作成、各種申請業務、構造計算、省エネ計算、建築確認申請の書類作成などの業務については、内製から外注にシフトする設計事務所が増えています。

人手不足の問題は今後も改善される見込みが低いことから、人材不足や技術スキルの不足を補う手段として外注化の重要性は今後さらに高まるでしょう。

― 整合性や図面修正に関する不安

実施設計では、基本設計をもとに詳細な設計図を作成するため、高度なスキルが必要です。

社内で設計士の経験やスキルが十分に整っていない場合、基本図面や構造図面との整合が取れていない図面が上がってくる場合があります。そのため、構造計算との整合性を図るための修正や、納まりの再検討が頻繁に発生し、図面の大幅な手直しが必要となってしまいます。

また、近年、VE(Value Engineering)やCD(Cost Down)による設計変更において、短期間での図面修正を求められることが少なくありません。変更に対して複数の図面で迅速かつ正確な修正が必要ですが、人手不足により十分な対応ができない状況が続いています。

このような図面の整合性確保や修正対応の課題を解決するため、すでにノウハウを持つ外部の設計事務所に業務を委託するケースが増加しています。

― 2025年4月の法改正による業務量の増加

― 2025年4月の法改正による
  業務量の増加

2025年4月の建築物省エネ法の改正により、これまで対象外だった300㎡未満の住宅・非住宅建築物にも省エネ基準への適合が義務付けられました。

基準を満たさない場合は確認済証が発行されないため、着工することができません。そのため、設計段階から省エネ計算を行い、省エネ基準に適合しているか確認していく必要が出てきます。

大手住宅メーカーや工務店の中には、すでに省エネ基準に対応しているところもあり、その影響で業務負担が増加した設計事務所では、実施設計における作図や省エネ計算の外注委託を進めています。

さらに、4号特例の廃止により、これまで簡略化されていた木造建築物の審査も厳格化され(新3号建築物※を除く)、確認申請の際に構造・省エネ関連の図書の提出が必要になります。

設計事務所の負担は確実に増加するため、外注化はますます重要な選択肢となるでしょう。

※延べ面積200㎡以下の木造平屋建て(改正法第6条1項第3号に該当する建築物)

2025年省エネ基準適合
義務化の影響と対応策

設計・施工担当者必読!
省エネ義務化で変わる業務と対策の
要点だけをキュッと凝縮。
無料
設計業務を外注するメリット
設計業務を外注する
メリット
設計業務を外注することで、以下の3つのメリットを得られます。
  • 受注機会の損失を防げる
  • 重要な分野に集中できる
  • 従業員の定着率向上
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

― 受注機会の損失を防げる

多くの設計事務所では、従業員一人ひとりが複数の案件を抱えており、日々の業務に追われて新規案件を受けられないケースが少なくありません。設計業務を外注することで、この課題を効果的に解決できます。

例えば、基本設計は社内で行い、特に労力のかかる実施設計や省エネ計算などの作図業務を外注することで、従業員の負担を軽減できます。

これにより、複数案件を同時に進行できる体制が整い、新規案件を受注しやすくなります。

また、急ぎの依頼や仕様変更が発生した場合にも、外注を活用することで柔軟に対応できます。
設計業務の外注は、社内の人手不足を補いながら受注機会を最大化する、有効な手段といえます。

― 重要な分野に集中できる

設計業務全体を社内で完結させる場合、限られた人員を様々な業務に配置するため、本来注力すべき業務に人手が回らない状況となります。そのため、競合他社との差別化ができず、目標とする案件の受注数や売上の達成が難しくなります。

しかし、設計業務の一部を外注することで、その業務に割かれていたリソースを他の重要な業務に充てることができます。特に以下のような業務に専念する時間を確保できます。

デザインを検討する時間

設計は数多くの検討を行う必要がある仕事です。その中でも特に重要な「デザインの検討」に十分な時間を確保できます。じっくりと取り組むことで、より高い品質の提案が可能になるでしょう。

現場対応の時間

現場においては、タイムリーなやり取りや迅速な判断が求められます。現場作業は「待ったなし」で進行し、常にコスト管理も伴うため、十分な判断時間を確保することが欠かせません。外注を活用することで、こうした現場対応に集中できる体制を整えることができます。

さらに、実施設計を外注することで、CADソフトや構造設計・設備設計、省エネ計算のためのソフトウェアといった設備投資を抑制できる点も大きなメリットです。

外注を活用することで、限られたリソースを効果的に配分し、設計事務所としての強みをさらに伸ばすことができます。

― 従業員の定着率向上

設計事務所は、繁忙期になると残業時間が増える傾向にあります。特に小規模の設計事務所では、従業員が夜遅くまで働くことや、休日を返上するといったこともめずらしくありません。

設計業務は高度なスキルと集中力を求められるため、長時間労働は従業員に大きな負担となります。これが長期化すると、モチベーションの低下や離職率の増加につながるリスクもあります。

繁忙期には、設計業務の一部を外注することで、従業員の残業時間を抑え、ワークライフバランスの向上が期待できます。

その結果、従業員の定着率が向上し、人材の採用や育成にかかるコストを抑えられるだけでなく、長く勤める従業員の経験やノウハウを社内に蓄積することができます。
実施設計業務
納まりも意図も、バシッと反映。
スピーディーに。こだわりも“そのまま”図面に。
設計者目線で図面化
実施設計業務
納まりも意図も、
バシッと反映。
スピーディーに。
こだわりも“そのまま”図面に。
設計者目線で図面化
設計業務を外注するデメリット
設計業務を外注する
デメリット
設計業務を外注するデメリットは以下の2つです。
  • 変更対応の遅れと追加費用の発生
  • 外注による品質のばらつき
それぞれのデメリットについて、詳しく解説していきます。

― 変更対応の遅れと追加費用の発生

― 変更対応の遅れと追加費用の
  発生

設計業務を外注する場合は、クライアントからの設計変更の要望や法的要件の変更に伴う修正が必要になることがあります。その際、外注先の工程を調整する必要があり、外注先の業務状況によっては、対応に時間がかかることも少なくありません。

また、契約範囲を超える作業や急ぎの対応が発生すると、追加の費用が請求される場合があります。

一方、設計業務を内製化していれば、状況に応じて柔軟に優先順位を変更でき、迅速な対応が可能です。社内で対応する場合、ある程度の変更であれば追加コストを抑えられるメリットもあります。

このように、外注化は初期の負担軽減には効果的ですが、設計変更が多いプロジェクトでは、対応の遅れや予期せぬコストが発生する可能性があります。

― 外注による品質のばらつき

設計業務の外注で生じやすいのが、成果物の品質のばらつきです。

特にフリーランスやマッチングサイトを通じた外注の場合、この問題が顕著になりがちです。例えば、建築図面における各部の納まりや建築基準法などの法規制に対する理解が浅い場合、提出された図面に不備が見つかることがあります。図面の品質が低ければ、手直しが必要となり、余計な労力と時間がかかります。

また、急な設計変更や修正が必要になった場合、外注先の都合で迅速な対応が難しいこともあります。

図面の納期が遅れると、プロジェクト全体の進行に支障をきたす可能性があります。委託先を選ぶ際には、技術力と対応力をしっかり見極めることが重要です。
信頼できる委託先を選ぶための4つの基準
信頼できる委託先を選ぶ
ための4つの基準
設計業務の外部委託を成功させるには、信頼できる委託先の選定が重要です。適切な委託先を選ぶことで、業務の質を維持しながらプロジェクトをスムーズに進めることができます。

ここからは、信頼できる委託先を選ぶ際に押さえておきたい4つの基準を解説します。

― 豊富な実績と資格の所有者が複数在籍している

― 豊富な実績と資格の所有者が
  複数在籍している

委託先の選定において、豊富な実績と専門資格を持つスタッフが在籍していることが重要です。設計には高い専門性が求められるため、実績やスキルはプロジェクトの成否を大きく左右します。
例えば、以下のような委託先は信頼性が高いといえます。
  • 毎年安定して多数の案件を受注している
  • 大手デベロッパーやハウスメーカーからの依頼実績がある
  • 一級建築士などの資格を持つスタッフが複数在籍している
これにより、担当者の変更があっても品質を維持できる体制が整っています。

一方で、個人事業主やフリーランスへの依頼はリスクが伴う場合があります。突発的な業務増加や修正対応が困難で、業務が途中で停滞したり、納期遅延を招いたりするケースが報告されています。

委託先に原因があったとしても、結果的には自社の信用低下につながる可能性があります。そのため、実績と体制が整った信頼性の高い企業を選ぶことが大切です。

― 提案力が高い

信頼できる委託先を選ぶには、単に指示通りに業務を遂行するだけでなく、設計の質を高める提案や改善点の指摘ができることが重要です。

設計業務では、構造、設備、省エネなどが密接に関連しています。そのため、設計の過程で一部の修正や仕様変更が生じると、他の部分との整合が取れなくなることがあります。もし委託先がそのまま作業を進めてしまうと、施工上の問題を含んだ図面が納品されるリスクがあります。

しかし、経験豊富で提案力のある委託先であれば、作図中に設備配管と構造部材が干渉する箇所や、省エネ基準を満たすために断熱材の仕様変更が必要な箇所を速やかに指摘し確認を行います。

また、設計の初期段階でコスト面や工期に影響するリスクがある場合には、具体的な代替案を提示し、プロジェクトの円滑な進行をサポートします。こうした積極的な提案により、依頼者との信頼関係が深まり、業務全体の効率化にもつながります。

― 緊急時に迅速な対応ができる

信頼できる委託先を選ぶには、緊急時に迅速な対応ができるかどうかを基準にするべきです。

設計業務では、プロジェクト進行中に仕様変更や予期せぬ問題が発生することが少なくありません。たとえば、クライアントから急な要望変更があり、設計の修正が必要になった場合、対応が迅速であればスケジュールへの影響を最小限に抑えることができます。

一方で対応が遅れると、プロジェクト全体の進行が滞り、追加費用や納期の遅れにつながる可能性があります。緊急時にも迅速に対応できる委託先を選ぶことは、プロジェクト成功の鍵となります。
ここまで、建築設計の外注化が加速している背景や建築設計を外注するメリットとデメリット、委託先を選ぶ基準について解説してきました。

当社では、設計に携わる全ての方に寄り添うサポート業務を行っています。

― 設計業務から省エネ計算まで幅広くサポートできる

― 設計業務から省エネ計算まで
  幅広くサポートできる

当社は、実施設計から省エネ計算に至るまで幅広いサービスを提供しています。

一級建築士をはじめとする資格を持つ専門スタッフが複数在籍し、設計事務所としての強みを活かせるため、多様な業務に対応可能です。

たとえば、申請図の作成省エネ計算など専門性が必要な業務でも、高い品質を維持しながら効率的に進められます。また、審査機関からの修正指示があった場合、当社が直接対応し、クライアントの手間を省きます。

お客様は設計業務や申請の細かい手続きを気にすることなく、プロジェクトの進行に集中できます。

― 全国に対応しているので地方の建築物も任せられる

― 全国に対応しているので
  地方の建築物も任せられる

当社は、北海道から沖縄まで、日本全国対応しています。

地方での案件実績も多く、景観条例による高さ制限、色彩規制など、各地域特有の建築規制や行政手続きにも精通しています。

地方の場合、主にメールや電話で手続きを進めます。図面や計算書類のやり取りはオンラインで完結するため、地理的な制約を受けることなくスムーズに業務を進めることが可能です。

なお、行政等への申請書類の提出や副本の受け取りについては、お客様にご対応いただく必要がありますが、申請に必要な図面や計算書類の作成、手続きに関する具体的なアドバイスは当社が全面的にサポートします。

― 実績が裏付ける品質管理

これまで、大手設計事務所から個人事務所まで、幅広くサポートしてきました。

住宅や商業施設、公共建築物など案件に対応してきた実績があり、多くの建築物を手がけてきた経験から、建物の規模や用途に応じた最適な設計提案が可能です。

また、建築確認申請や省エネ適合性判定など、各種申請業務にも対応できますので、設計業務の外注をご検討の際は、ぜひご相談ください。
実施設計業務
納まりも意図も、バシッと反映。
スピーディーに。こだわりも“そのまま”図面に。
設計者目線で図面化
実施設計業務
納まりも意図も、
バシッと反映。
スピーディーに。
こだわりも“そのまま”図面に。
設計者目線で図面化